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企業人であれば一度は読んでおくべき「基本書」

初版発行は、1978年という古典的な名著です。

製造業に携わる方にとってはもちろんのこと、企業人であれば一度は読んでおくべき「基本書」だと言えます。内容については、私がここでくどくど書くのも今さらという気がしますので、簡単に触れるにとどめます。

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トヨタ生産方式の基本思想は「徹底したムダの排除」

トヨタ生産方式の基本思想は「徹底したムダの排除」にあります。それを貫く2本の柱は、

1)ジャスト・イン・タイム →必要な物を必要なときに必要な数だけ調達・生産する

2)自働化→機械に異常や欠陥が発生したら、作業を停止して 不良品が作られないようにしておく

の2つです。

詳細は、トヨタ企業サイトをご覧ください。

私自身がこの本を読んで良かったと思ったのは、メジャーなビジネス書を読む際に、「トヨタ生産方式」を知っているのといないのとでは、そのビジネス書の理解の度合いというか腹落ち具合が全然違うということです。

例えば、ユニクロに関するメジャーな本である、 「一勝九敗」「成功は一日で捨て去れ」 を、私自身は「トヨタ生産方式」に出会う前に読んだのですが、今思えば、ユニクロの凄さを真に理解はできていませんでした。

「トヨタ生産方式」を知っておくと、理解が深まると思われる本としては、「ザ・ゴール」シリーズ、「V字回復の経営」、「見える化」、「ユニクロ帝国の光と影」、「模倣の経営学」、「リーン・スタートアップ」等々が挙げられますね。

トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざしてトヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして
大野 耐一

ダイヤモンド社
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追記

ダイヤモンド・オンラインに著者の大野耐一さんとスティーブ・ジョブズ(Apple共同創業者)、ジェフ・ベゾス(Amazon.com創業者)、ラリー・ペイジ(Google共同創業者)、サーゲイ・ブリン(Google共同創業者)との関連性について興味深い記事がありました。

「かんばん」の産みの親は「情報人間」だった

20世紀末から21世紀の現在、きら星のごとく現れたスターたちが、大野の夢見た「ジャスト・イン・タイム社会」をスマートなイノベーションで切り開いた。亡きジョブズはパソコンのネット販売で「マーケット・プル」(顧客優先)をやってのけた。アマゾンのベゾスは世界のアマゾン店で24時間、大野の著書を「ジャスト・イン・タイム」で売ってくれている。いちばん若いペイジとブリンが大野の著書を読んだかどうかは不明だが、「ジャスト・イン・タイムに情報検索が可能なグーグルシステム」をフリーに開放し、大野が希求した「必要な情報を、必要なときに、地球上のどこでも得られる世界」を実現したのは喜ばしい。

さらにいえば、記事の別の個所でも触れていますが、マイケル・デル(Dell創業者)は、パソコンの「ジャスト・イン・タイム」な生産・供給方法を生み出して成功をおさめました。

ムダを徹底的に排除していけば、時間の短縮と情報の集約化に収束します。「トヨタ生産方式」は、その点について、今一度思い出させてくれます。


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