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日本の高い地熱発電技術

先日、本ブログで地熱発電について、とりあげました。

日本のエネルギー戦略をぶち壊す和製シーシェパード

徐々に地熱発電への注目が高まっているようですが、小説の中でも、この事態が紹介されていました。

熱血!会計物語第20話「あなただったら、投資顧問会社のインチキ報告書を見破れたと思いますか?」(日経ビジネスオンライン)

引用します。

「日本は地熱発電技術が高くて、発電設備の世界シェアは約7割にも達しているのよ。それにもかかわらず、この10年間、国内では商業用の発電所は新設されていない。なぜだか分かる?」

達也が首を左右に振ると、ミミはその理由を話し始めた。

「地熱発電所の候補地のうち8割が国立公園や国定公園内にあるから、規制が多くて開発が進まないのよ。それで今年の2月、環境省は公園外から斜めに掘り進めることを条件に、地熱利用を認める検討を始めた。だけど、斜め掘りをすることで試掘のコストが大幅に増えてしまう。

だから試掘はもう少し景気が良くなってからにしよう、という意見も出ているようね。借金財政の中で、どれだけ予算が確保できるのかしらね。それから、公園周辺地にある温泉の湯量が減ったり、成分が変わったりする可能性があるからって、温泉業界も開発に反発しているらしい。

原発が止まって、原油価格が高騰しているというのに、日本の人たちはエネルギーの将来を本気で考えているのかしら」

ミミは信じられないといった表情を浮かべた。

(引用終わり)

日本人の私も、信じられないです。

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温泉街と共存している八丁原地熱発電所

上で、温泉業界の反発云々とありますが、すでに日本で温泉街と共存している地熱発電所があります。

八丁原地熱発電所(九州電力ホームページ)

八丁原発電所は、Wikipediaによると、「発電に利用された後の熱水は10本の還元井で地下に戻される他、一部は重金属を濾過する装置を通した上で近隣にある温泉街に供給している。建設の当初は地元からの懸念も表明されていたが、発電所が迷惑をかけるような事案や苦情は発生していない。

」ということです。

じゃらんのサイトを見ても、かなり近い場所に温泉宿があるのが、確認できます。他の地域でも、実現できるかどうかは未知数ですが、せめて検討はしていただきたいと切に願います。

追記

環境省もようやく譲歩をする気になったようです。

国立公園での地熱発電開発に光明!頑固な環境省を方針転換させた“強力包囲網”(現代ビジネス)

原発問題を抱える日本の現状では、省益だけを追求するのは、難しいのかもしれませんね。とはいえ、記事を読む限りでは、まだまだ環境省が巻き返す余地もあるようですから、これで一件落着とはいえないものの、一歩前進と言っていいと思います。


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