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采配采配
落合 博満

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以前、落合博満さんと小沢一郎さんは、似ているとブログに書きました。

こちら

本書を読んで、さらにその思いを新たにしました。

もちろん、伝わってくる印象というものもそうですが、お二人の根本的な価値観というか、

ぶれない軸というか、評価基準というか、大切にしているものというか、

そういったものが共通するのかなあと、思った次第です。

例えば、先日、小沢一郎さんと田原総一郎さんがニコニコ動画で対談をしました。

動画は、こちら

対談内容の書き起こしは、こちら(前編)。

こちら(後編)。

この対談の中で、このような件があります。

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田原: まあ、いいや。ところが細川連立政権を作ってからそれ以後ずっと、

    やっぱり日本の体質は変わっていないじゃないですか。

小沢: 変わってない?

田原: 変わってない。これは何ですか。

小沢: やっぱり日本人の意識が変わってないんでしょうね。

田原: それをやっぱり政治家が何とかしなければいけない。

小沢: 政治家の責任ですけどね。もちろんその通りですが、

    やっぱり国民自らが(何とかするのが)民主主義社会ですから。

    国民以上の政治家が出ないとよく言われるんですよ。

    だから、国民がやっぱり賢明にならないと。

田原: 賢明になるというのはどうすればいい?

小沢: 自分自身で考えることです。

    自分自身で考え、自分自身で努力し自分自身で決断して、

    行動するということです。

田原: いやそう仰るけど、これは極めて難しいですよ。

小沢: ええ、難しいです。

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田原: 今、円高不況と、さっき仰った安全保障もいい加減、

    そういう日本をこれからどうすりゃいいんですか?

小沢: 僕が本に書いたり、あっちこっちでしゃべってるのは、

    さっきも言いましたけど、やっぱり日本人の自立ですよ。

田原: 自立ってどういうことですか?

小沢: 自分で考え、自分で判断するという習性を付けないと、

    とにかくその時その時で、マスコミだなんだかんだに影響されて

    フラフラするというのでは、本当に日本を立て直すことは僕は出来ないと思いますね。

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田原: (司会の角谷氏へ)はい、どうぞ。

角谷: 会場にいる方々から、アンケートを事前に取りましたのでそれを少しご紹介します。

    ご質問をいただいています。早稲田大学の「サナエ」君、2年生の方です。

    (会場内に呼びかけて)サナエ君、いる? 

    「今後の日本を建て直すにあたって若者、大人、それぞれに必要なこと、

    何を成すべきと小沢さんは思いますか」と。

小沢: それは何度も言うように、自立心を持ってもらいたい。

    自分自身で考えて、いろいろな人の意見を聞くのはいいんですよ。

    だけど最終の判断は自分でやる。

    自分の責任で決断し行動するという習性を身につけてもらいたいというのが基本。

    それからもう1つは、夢を持ってほしいね。

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また、落合さんは、本書の冒頭 

第1章 「自分で育つ人になる」のところで、こんな風に書いています。


・本当の意味でのプロとは、自ら考え、責任を持って行動し、

 積極的に教えを乞い、成長を続ける、いわば「自立型人間」のことである。



以上に見られるように、自己判断・自己責任、自立といったものを

お二人とも大切にされているように思います。


前置きが長くなりましたが、本の感想です。

(以下、引用)

4 前向きにもがき苦しめ

・前向きにもがき苦しむ経験は、すぐに結果に結びつかなくても、

 必ず自分の生きる力になっていく。


5 セルフプロデュースとは、目の前の仕事にベストを尽くすこと

・プロ野球界には、自由契約やトレードで移籍した選手が移籍先の

 球団で活躍すると「前の球団はどこを見ていたんだ」と内外から批判されるため、

 他球団なら活躍できそうな選手を飼い殺しにしてしまうケースがある。

・しかし、人材が動く時代になった。プロ野球界も、野球界全体で選手を活かす道を

 考えなければならない。

・(選手側は)普段から目の前の仕事にベストを尽くすことが条件だ。



8 明日の「予習」ではなく、今日経験したことの「復習」がすべて

・プロ野球の世界に限れば、私自身は予習はいらないが、

 徹底した復習が必要だと思っている。

・飲み込みの早い人は忘れるのも早いことが多い。

・自分は不器用だと自覚している人ほど、しっかりと復習するものなのかもしれない。


10 「達成不可能に思える目標」こそ、数字に勝つ唯一の方法

・(数字に勝つ唯一の方法で落合さんが実践してきたものが)

 「達成するのは不可能ではないか」という目標を設定すること

・(打率)3割を超えられない選手の傾向を分析すると、3割を目標にしているケースが

 ほとんどである。

・3割の壁を突破していく選手は、一度も3割をマークしていないにもかかわらず、

 3割3分あたりを目指している。

・私が現役時代に毎シーズン「三冠王を獲ります」と宣言していたのも、

 打撃タイトルを3つとも独占しようと取り組んで初めて、

 ひとつ、ふたつと手にできるということを、身をもって感じていたからである。


12 一流には自力でなれるが、超一流には協力者が必要

・(スランプからなるべく短い期間で抜け出すために)

 試合前の打撃練習をする際、打撃投手や捕手に私の印象を尋ねてみるのだ。

→ところが、プロ経験者とはいえ、打撃投手や捕手と落合さんの実力差・実績の差は歴然

 彼らからすれば、三冠王の打撃に口を出せるわけがないと思うのも自然なこと

 彼らの意見を聞くために、自分の考え方を話して、何とか本音を引き出すように努めた

・トップクラスで活躍する選手の成績には、裏方と呼ばれるスタッフの知識や経験も

 生かされているのである。


14 「負けない努力」が勝ちにつながる

・(2対3で負けた試合の先発投手のコメントでありがちな

 「負けたのは悔しいですが、自分の仕事はできたと思っています」

 というものに対して)

 「先発投手が黒星を喫したら、仕事をしたことにはならないだろうに」

・チームスポーツで「仕事をした」と言えるのは、チームが勝った時だけである。

→「仕事」を「成果」と読み替えるとしっくりくるかもしれません。

 勝って初めて成果を出したと言えるのではないでしょうか。

・一般社会において、あと一歩で契約を取れなかった社員が

 「自分の仕事はしました」と胸を張るだろうか。


15 何でもアメリカ流でいいのか

→この辺りの主張は、小沢一郎さんとイメージかぶりますね。


16 采配は結果論。事実だけが歴史に残る

・2007年の日本シリーズにおける、山井の交代 について触れています。



19 すべての仕事は契約を優先する

・(日本社会のよくない部分として) 「国のため」、「世界一になる」などという

 大義名分があると、組織図や契約を曖昧にして物事を決めようとする。

・選手とは、球団と契約をしている個人事業主

・選手のコンディションとは、言わば一事業主にとって、“企業秘密”なのである。


21 ミスは叱らない。だが手抜きは叱る

・何も反省せずに失敗を繰り返すことは論外だが、

 失敗を引きずって無難なプレーしかしなくなることも成長の妨げになる

・注意しなければ気づかないような小さなものでも、「手抜き」を放置すると

 チームには致命的な穴があく


22 欠点は、直すよりも武器にする

・すべてに完璧な人間などいない。

 長所が欠点を補い、次第に成長していくことに期待すればいいのだ


24 自由にさせることと、好き勝手にすることは違う

・好きにやることは責任が伴う。好き勝手とは違うのだ


29 スーパーサブとして、厳しい競争社会を生き抜く

→守備のスペシャリスト岩﨑達郎選手の話

 2010年の成績は78試合出場、打率は1割8分3厘

→それでも、年棒は大幅アップ。本人が契約更改の場で目を丸くしていたらしい。

・(岩﨑選手のような存在を)正しく評価するのが私の役割なのだ。

・まだ27歳で伸び盛りだから、ファームで徹底的に鍛え上げれば井端や荒木から

 ポジションを奪い取れるかもしれない。

 ただ、現時点で勝敗を決する場面での守りを任せるには適任だという

 私の判断で、シーズンを通して一軍に置いていたのだ。

・一軍は猛練習する場所ではないから、岩﨑の将来を考えれば不幸な立場かもしれない。

・時にはファームで実戦経験をさせてやりたいとも思うのだが、

 そこで故障やケガをされてしまうのが一番怖い。

 だからこそ、せめて年棒という評価で報いてやらなければならない


30 相手の気持ちに寄り添いながら、自分の考えを伝える

・8年間、監督を務めてきて強く感じているのは、

 選手の動きを常に観察し、彼らがどんな思いを抱いてプレーをしているのか、

 自分をどう成長させたいのかを感じ取ってやることの大切さだ。




33 「見なくてもわかる」で、確実に成長は止まる

・プロだから見なくてもわかると言う人は、

 自分が経験した野球で時間が止まっている。

・「言われなくてもわかっている」で片づける部下は大成しない


34 任せるところは、1ミリも残らず任せ切る

・何でも自分でやらなければ気が済まないと動き回る監督ほど失敗する



35 気心と信頼は別物

・(森コーチとの関係性について)

 気心の知れたヤツだから、同じ考え方をする人間だからという理由、

 すなわち人脈や派閥のような感覚でコーチを任せていたら、

 このような関係にはなれなかったし、チームを勝たせることもできなかったと感じている

→某オリンピックの際に、コーチをお友達で固めて、メダルを取れなかった方や

 自分より年上のうるさ型のコーチを全部排除して、遊び仲間で固めた結果、

 巨大戦力を持ちながら、2年連続V逸という方もいらっしゃいます。


37 安定感より停滞感のほうがリスク

・レギュラークラスの選手からは、“慣れによる停滞”を取り除かなければいけない


42 監督は嫌われ役でいい。嫌われ役がいい

・本来なら味方であるはずのファンやメディア、場合によっては選手をはじめ

 身内からも嫌われるのが監督という仕事なのだと思う。


43 チームに「チームリーダー」はいらない

・組織に必要なのはチームリーダーではなく、個々の自立心と競争心、

 そこから生まれる闘志ではないか。

・年齢、性別に関係なく、メンバーの一人ひとりが自立心を持ち、

 しっかりと行動できることが強固な組織力を築いていく。

・つまり、一人ひとりが自分なりのリーダーシップを備えていれば、

 チームリーダーなる存在は必要ないと考えている。



47 自分で考え、動き、成長させる

・自分を大成させてくれるのは自分しかいない


48
 自己成長に数値目標は無意味

・指導者は、選手に対して絶対に気を遣ってはいけない。

 その代わり、全身全霊で練習に打ち込む選手に配慮してやることが必要

・(コーチに対して)「どんなに遅くなっても、練習している選手より先に帰るなよ。

 最後まで選手を見ていてやれよ」


49 連戦連勝を目指すより、どこにチャンスを残して負けるか

・長嶋さんはペナントレース全試合を勝ちに行く采配だった。


51 オレ流ではない。すべては堂々たる模倣である

・自分がいいと思うものを模倣し、反復練習で自分の形にしていくのが技術

・模倣とはまさに、一流選手になるための第一歩



55 職場に「居心地のよさ」を求めるな

・若いビジネスマンに伝えたいのは、自分の職場に「居心地のよさ」を

 求めるなということだ


58 勝ち続けることに、全力を尽くす

・最大のファンサービスは、あくまで試合に勝つことなのだという信念が
 揺らいでしまったら、チームを指揮する資格はないと思う。

・監督が価値を目指さずして、誰が勝つことを目指すというのだろうか。


59 プロフェッショナルは、段階を踏んで育てる

・世の中がどんなにスピーディになっても、更新や部下の育成は

 守るべき順番を守り、必要な時間はかけなければならない。


63 俺のやり方は、おまえのやり方ではない

・技術、仕事の進め方というものには「絶対的な基本」がある。

 しかし、「絶対的な方法論」はない。


66 仕事の成果と幸せに生きることは、別軸で考える

・ビジネス界のほうがプロ野球より厳しい部分もあるのではないかと感じている。

・だから、40代でも充実した勝負の顔を見せるプロ野球選手から

 「勇気をもらった」という言葉に、ありがたいと思う反面、

 どこか違和感を 覚えてしまうことがある。

・私は東芝でサラリーマン生活を5年経験した。

・プロ野球に入ってからも、経営者やビジネスマンと接する機会は少なくない。

 人の上に立つことの苦しさ、反対に一国一城の主になる醍醐味を経営者から聞かされ、

 心を揺さぶられたことは何度もある。

 さらに、大企業で必死に働いている人から、

 仕事というものの本当の厳しさを教えられたこともある。


(引用終わり)

落合さんのもとで働けた中日の選手は幸せ者ですね。