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佐々木則夫監督の支援型リーダーシップ

サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)のロンドンオリンピック最終予選が今日から始まりました。

主力を温存してスタートしたものの、前半で得点を奪えず、後半は宮間あや選手らを投入した甲斐もあり、格下のタイに3-0で勝利しました。

まあ、今日の結果はそれとして、今回書きたい内容は、佐々木則夫監督のリーダーシップが、いわゆる支援型リーダーシップである、ということです。

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支援型リーダーシップの特徴

支援型リーダーシップの特徴としては、

・崇高な目的・ビジョンを示し、メンバーとコミュニケーションができる

・メンバーとの相互信頼関係にあり、メンバーのアイディアを尊重できる(傾聴と理解)

・メンバーの感情に配慮した気遣いができる・自らが控えることを知っている(オレオレと前に出ない)

・役立ち、尽くし、癒しとなる

といったものがあります。

佐々木監督のエピソード

これらの特徴についてあてはまるエピソードが、佐々木監督の著書「なでしこ力」にもいくつか出てきます。

・「俺の言うことを聞け」と選手に命令するかのような態度では、監督失格だ。言って聞かせればできるというのであれば誰だって名監督になってしまうし、そもそもサッカーは誰かから命令されてやるものではない。

・「コーチ」の語源は、「馬車」だ。コーチという言葉には、「人をある地点まで送り届ける」役目を担う人、という意味がある。ではコーチが馬車なら選手は何だろう。答えは「乗客」だ。間違っても、選手は「馬」ではない。

・監督は、選手の掲げた目標達成のために考え、判断し、決定を下す。僕は日本サッカー協会と契約してなでしこジャパンの監督を任されているのだが、気持ち的には「クライアントは選手たちだ」という感覚で仕事をしている。

・僕も選手も人間である以上、相手の気持ちを理解しようと心がけることはとても大事だと思う。僕は常に選手の心の状態を察するように、できる限りの努力をしているつもりだ。

・選手が成長するかどうかは、技術や知識ではなく、「決意が本物かどうか」で決まるものだと、僕は思っている。だからこそ、僕は就任当初から選手たちと一緒に目標を共有してきたし、その目標を達成しうるプロセスを導き出し、選手の長所を活かす組織を構築して、なでしこたちと一緒に戦ってきた。

これを書くために「なでしこ力」をざっと読み返しましたが、ビジネスパーソンに参考になる箇所が満載です。

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特に企業人・組織人にとっては、佐々木監督の父親のエピソードとサラリーマン時代の思い出がまとめられている第7章 歩々是道場(ほほこれどうじょう)は、読んでおいて損はないです。


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