上司は『いちばん大切なお客様』
なかなか刺激的なタイトルの本ですが、概要は帯やサブタイトルにもある通り、「上司に期待するな!」「自分で道を切り開け!」「あなたの上司を『いちばん大切なお客様』だと思いなさい」というように考えましょうということです。
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「自分の成績が悪い、仕事が楽しくない、会社がつまらないのは、上司が悪いんだ」というビジネスパーソンは、騙されたと思って、読んでみると参考になる点が多いです。
以下、抜粋します(→以下は、私の感想です)。
どんなにバカな上司の下でも成長できる仕事術
・ビジネス界で成功している人ほど、案外、若いころの上司に恵まれていない。
→具体例として、緒方さんの元上司である成毛眞さんの例を挙げています。
・たとえお客様がバカでも、自分から商品を買ってくれるなら、大切なお客様同じように、社内で自分を評価するのが上司なら、上司だってお客様。
→「上司=お客様」理論が本書では頻繁に出てきます。
・部下が上司に期待することはやめて、「上司に期待される部下になる」あなたが「バカだ」と思っている上司は、実はあなたを猛スピードで成長させてくれる大切な存在。
→上司が何もしてくれないなら、自分でできるようになるしかない。
・日本の企業では、新人研修は盛んでも、マネジメント教育は手薄部下をどう信じていいのか?部下にどう任せていいのか?上司には経験も知識もない。
→上司に「理想の上司」像を求めるだけムダ。
・上司がたくさんの経験を持ち、部下の知らない多くの知識を持っていると考えるのは、部下の幻想。ゆえに、部下が知らないことを上司も知らないというのは、稀ではない。「仕事を教えてくれない」のではなく、「知らないので教えられない」ということも多い。
→言われたことだけやってきて、何も考えなかった上司は、部下に力量不足がばれてしまう。
・本来、20代は人生の根幹になるものを見つけ、地道に我慢する時期。
→安易に上司がバカだといって仕事に地道に取り組まない言い訳を作らない。
・仕事というのは、「面白い、面白くない」で選り好みするものではない与えられた仕事を最善を尽くしてやる。仕事を一生懸命やっていないから、できない。できないからつまらない。それは自分のせいであって、上司のせいではない。
→どんなにつまらない仕事でも、一生懸命やるべき。見ている人は見ている。
・お客様から仕事を教えてもらおうなんて、考えないだから上司から仕事を教えてもらおうと考える方がおかしい部下の正しい姿勢は、「自分で学ぶ」こと。
→今の時代知らないことを調べようと思えば、たいていのことは調べられるまた、何とか調べて解決しようとすることで知恵とか工夫とかが生まれるもの。
・上司を尊敬する必要はないが、人前では必ず立てる嫌いな上司は嫌いで仕方ありません。けれど、態度に出してはいけません。自分の属している組織の悪口を平気で言えるのは、当事者意識が低いから組織に対する愛情も低い。
→せめて組織にいる間は、その組織に従うべき。それが大人の作法。
・報告はメールだけにしない。口頭でも行なう。
→岩瀬大輔さん(ライフネット生命副社長)も同様のことを言っていましたね(【本の紹介】入社1年目の教科書(岩瀬大輔 ダイヤモンド社)をご参照ください)。
・お客様である上司には、こまめに報告する。報告の際のポイントは、「よいことがあったら、しばらく放っておく」「悪いことは、こまめに報告する」。
→「よい」と思ったことを早めに報告しすぎて、結果として当初の予定通りいかなくなってしまうのは、誰もが一度はする失敗です
・上司は選べないとあきらめろ!
→ただし、それなりの規模の会社であれば組織変更や人事異動があるので、2~3年我慢すれば、上司が代わる可能性は大きい。
・いわゆる仕事のできる人は、相手の言っていることや思っていることを的確に理解できる能力が高い人のことだと、私は多くのビジネスマンと接してきて思いました。
→そして、自分の考えていることをちゃんと説明できる人。
・語学やITで勝てなかったら、営業力を磨け!成毛さんのアドバイス「コンサルタントの仕事の半分は営業である。顧客開拓の可能性がなければ、一生アソシエイトである」「コンサルタントは自立しており、現在の会社にいるのはそのブランドを利用するという立場でしかない」。
→味わい深いです。
・仕事に真摯に向き合っていない社員の思いには、上司も同僚も敏感です。不満があるから、もし周りに同情してもらえると思ったら、それは甘えでしかありません。会社の同僚だって、一生懸命仕事をしている前提でこそ「仲間」である。
→会社・上司に不満があっても、周りには醸し出さない。ましてや、口に出して言わない。
・速さを重視するあまり、質が伴わない部下に仕事を覚えさせようとしたら、「時間がかかってもいい、丁寧にやってくれ」と指示を出すのが、できる上司ただし、時間はかけてもいいけれど提出する時間は遅くしない。要は、できるまでは寝ずにでもやる。
→仕事の本質を考え、理解させながら進めさせるべき。
・自分でなくてもできる仕事を自分でやっている上司がいます。上司には、上司がすべき仕事を優先し、専念してもらう。書類のコピーを上司が自らやってはいけません。それはスタッフの仕事です。
・相手によって態度が変わる上司がいます。人によって態度が変わる人は、基本的に信用できない裏表のある上司です。
→社内でも、年下の同僚や後輩などを呼び捨てにする人間も基本的に信用できません。
私も、本書を読んで気づかされることが多々ありました。少なくとも、「相手の立場に立って」、「自己否定の精神を忘れず」、また、「利他の心を胸に」、「当事者意識を持って」業務に当たらなければならないと深く感じ入った次第です。
・対談:入社1年目の教科書(岩瀬大輔×田中良和)
・岩瀬大輔さんの講演を聞いてきました
・読書について(出口治明・岩瀬大輔)